松本潤主演「見知らぬ共犯者」

潤くんが見事演じきった「見知らぬ共犯者」
文字にしてみるとその凄さをさらに感じます。


「見知らぬ共犯者」


女:どう?気分は。

岸田:刑事さん、僕、やってないんですよ。何度も言いますけどね。ホントにやってないんですよ。

女:銃の入手経路は?犯行の動機は?仲間はいるの?

岸田:マジすか?またその質問きます?無限ループスタートみたいな?超ウツ展開なんですけど、マジで。これ誤認逮捕ってかですよね?てかですよ。これしかも僕。え?今何日目?この部屋入れられて。もう窓無いし。時間の経過とかわかんないし。今、太陽出てるのか、月が浮かんでんのかも不明だし。まず大問題として、今、僕はすごく眠い。何を話してるのか制御できないレベルで今眠い。ベルっすよ。あのベルであんたたちが叩き起こすから。あー、腹立つー。あ、すいません。なんかすいません。生意気言って。いや、でも僕、ほんとマジでやってないんすよ。いやっ、だから気がついたら鉄砲持ってビルの屋上に、なんかわかんないんすけど、ちょっと立ってて。立ってたんすよね。意味不明に。俺的にも、はぁ?、みたいな。イミフな感じで。
女:事件当日で覚えてることは?
岸田:そうっすね。オフィスの受付の花取り替えるバイトしてて。あの日も確か普通にヒマワリの花束乗せたワゴン押して3時前にはビルの受付通ったっけな。

(眠ってしまう岸田。そこへベル音)

女:起きろ岸田。3時前にビルに入って、それから?

岸田(スナイパー):ふっ、違うな。10階のラウンジの席について、ウォッカ・マティーニをオーダーしたのが3時30分。3時前はまだホテルのバスルームの中さ。現場での滞在時間は最小限に抑えるのが殺しの世界の鉄則でね。

(殴られ倒れる)

女:岸田、どうした?

岸田(スナイパー):私に名前はない。Pとでも呼んでくれ。みなそう呼ぶ。ミスターパーフェクト。私は窓際その席で、あるものを受け取る手筈になっていた。ヒマワリの花束だ。中にはチェイタック200狙撃銃が隠してあるはずだった。(殴られ倒れる)少し眠らせてくれ。捕虜への虐待は禁止されているはずだ。
(眠る。と、すぐにベル音。飛び起きる)

女:今度はだれ?

岸田:えっ、え、岸田ですけど。

女:いいわ、思い出して。

岸田:あの・・、だから、オフィスの花交換して。ヒマワリだったんすけど。あ、したら花が一束なくなってて。(大きく欠伸)

岸田(泥棒):あっ、失礼しました。で、えーと、私があのビルでなにをしていたかと言いますと。平たく言えば泥棒に。あぁ、まぁ、シェアさせていただいてるという考え方なんですが。ええ、入ってました。すいません。まぁスーツさえ来てれば、それ程怪しまれるケースはありませんから。あ、で、ですね。そのヒマワリの花束に関してはですね、花屋のワゴンとすれ違った際に、つい手癖で頂いちゃいまして。すいません。あっ、そうしましたところ中に妙なものがみえたものですから、ええ。ラウンジに移動して中身を確認しようということでエレベーターに(欠伸をして一瞬気を失う)

岸田(若い女):乗ってたんですよ。気が付いたら手にヒマワリの花束もって。「はっ?」とか思って、ちょっと中みたら、もう泣きそうで。鉄砲の部品が入ってて、きゃーもう意味わかんない。とにかく捨てなきゃ、これ。てか、そうだ、警察もっていかなきゃって。ラウンジの階でエレベーター止まったけど無視して、一階のボタン連打して、わー、おちつけ、おちつけ、わたし。とにかく一階でドアが開いたらダッシュで交番いこう。で、つとめて冷静を装って「なんかこれひろっちゃったんですけど」って、お財布拾ったみたいな何気なさで。「私ったらついこういうの無視できなくて届けちゃうんですよね、いつも」みたいなあるある感を発散させて。とにかく一言目で噛んだりしたら持ち直す自信あいからファーストタッチをしっかり

岸田(サッカー選手):そうですね。難しいゲームだったとは思いますけど、ファーストタッチでいいイメージでゲームが出来たんでね。一階でエレベーターのドアが開いたときは気持ちをしっかりもって「降りないぞ」っていう、まぁ僕の場合、逆算していつも考えてるっていうのがあるんでね。そのときはもうラウンジにエレベーターが着いているっていうイメージが出来てたんでね。(欠伸をしながら)あとは仲間を信じてラウンジの階のボタンを押すだけでしたね。

岸田(泥棒):で、ですね。下から上がってきてラウンジで花束を確認させていただいたところ。あっ、ちょっとここでは申し上げにくいブツが。あっいえいえ、商品が、ええ、入っておりましたので、社に確認いたしましたところ、やはりそういった商品は当社では扱いにくいという判断でしたので。ペンディングということで、ラウンジの方にまぁ置いてきたという流れで」
岸田(スナイパー):3時30分。ラウンジの窓際の席にヒマワリの花束は確かに届いていたよ。誰がどうやって届けたかは知らないがね。私はウォッカ・マティーニに半分だけ口をつけてから席を立った。仕事の時間だ。私の名前?ふんっPと呼んでくれ。パーフェクトのPだ。」

(銃を構える。倒れこむ)

岸田:あっ、すいません。なんか寝てました?んっ、もうギブ。限界。ほんとに僕やってないんで。

(倒れる)

女:7回目のセッションを終了。被験者3号は議員殺害の記憶を保有していない。洗脳によって無意識下に埋め込んだ4つの疑似人格は良好に作動していると考えられる。(女登場)(岸田起き上がる)ただし、30時間以上睡眠をはく奪した場合に現れる今回のような人格の暴走は注意して見ていく必要がある。

女:(岸田の膝に手を置き)よくやったわ。(写真を見せて)次の仕事よ。

(岸田、写真と銃を受け取り、立ち上がる。階段を下りながら)

ウォッカ・マティーニ。ふっ、すいません。無限ループ。(女に向かって銃を構える)
(銃声)